気づきの種が、思索の木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。
今回は、こちらのひと粒をお届けします。
「ここで必要なのは生命の意味についての問いの観点変更なのである。
すなわち人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、
むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。」出典:諸富 祥彦『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』(NHK出版, 2013年9月30日, kindle版, p.51)
オーストリアの精神科医ヴィクトール・E・フランクルの言葉です。
自分の欲望や願望を中心に生きる限り、
欲望には終わりがないため、私たちはいつも「足りなさ」に追われる。
「もっと幸せになりたい」「もっと認められたい」という想いは、
どれだけ満たしても、次の渇きを生み出してしまう。
この無限ループから抜け出すために、
フランクルは「問いの向きを変える」ことを提案しました。
――人生に何を期待するかではなく、人生が自分に何を期待しているか。
自分中心の欲望の回路を離れ、
他者や世界からの問いかけに応えるように生きること。
その無心な姿勢のなかでこそ、
結果として自己実現や幸福が生まれていく。
人は、自分の中だけではなく、
自分ではない誰か、自分ではない何かとのつながりの中で生きる力を得るのです。
💧今日のひと粒
人生に何を求めるかではなく、
人生のほうが、私に何を求めているのか。


