気づきの種が、考える木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。
今回は、こちらのひと粒をお届けします。
「もちろん、ぼくのバラの花も、ただの通りすがりの人が見れば、あなたたちと同じに見えるでしょう。だけど、あの一輪の花だけで、ぼくには、あなたたちみんなよりも大事なんだ。だって、ぼくが水をかけた花なんだから」(21章)
出典:水本弘文『NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま』(NHK出版, 2022, p.81)
ものの価値には、
「みんなが欲しがるかどうか」で決まる交換価値と、
「どれほど役に立つか」で決まる使用価値があります。
けれど、それだけでは測れない価値があります。
それは、ものと自分との関係から生まれる、自分にとっての価値(関係価値)。
市場原理が支配する社会では、交換価値や使用価値ばかりが注目されがちです。
しかし、ものごとの本当の価値は、自分がそれと結ぶ関係の質で決まるもの。
人生の豊かさは、所有物の豊かさではなく、
関係の質の豊かさにあるのかもしれません。
今日のひと粒:
「水をかけた花」は、誰の心にもある。
それを大切にできる人が、ほんとうに豊かな人。


