気づきの種が、思索の木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。
今回は、こちらのひと粒をお届けします。
「どんな社会も、成員の『合意』によってつくられるものである。ならばわたしたちは、一体どのような『合意』であればそれをよりよい社会といえるだろうか? ルソーはそう問うのです。
その答えこそ、『みんながみんなの中でより自由になるための合意』としての『社会契約』です。」― 苫野一徳. 別冊NHK100分de名著 読書の学校 特別授業『社会契約論』 (p.77). NHK出版.
ルソーは、みんなが自由に生きられる社会をどうつくるかを考え、
その答えとして「社会契約」と「一般意志」という考えを提示しました。
「社会契約」とは、
みんながみんなの中で、より自由に生きるための約束。
「一般意志」とは、
みんなの意志を持ち寄って見いだされた、みんなの利益になる合意のこと。
互いに対話を重ね、納得できる合意をつくり出したとき、
それが「一般意志」と呼ばれます。
そしてそれは、常に異論や変化に開かれていなければなりません。
「みんなのため」と言いつつ、一部の利益を犠牲にするものであってはならないのです。
この考え方は、私たちの最も身近な共同体――
つまり「家族」にもあてはまるのではないでしょうか。
家族の中で、
互いを対等な人間としてリスペクトし合い、
それぞれが自分の希望を表明し、吟味し、
みんなの幸福につながる合意をつくっていく。
それこそ、家族という小さな社会の「社会契約」。
家族みんなが、家族の中でより自由になるための約束です。
その実現のために必要なのは――やはり、「対話」です。
当たり前のことのように思えるかもしれません。
しかし、当たり前のことこそ、案外できていないのかもしれない。
わたしたちも改めて考えてみようと思うのです。
家族の中で、どんな合意を交わして生きていくのかを。
🌱今日のひと粒
家族とは、小さな社会契約。
互いを尊重し、自由に生きるための合意。
それは、日々の対話の中で更新されていく。

