🌱1分de知の種 Seed.23(2025.11.05)
~有限だからこそ、かけがえのなさが生まれる~

気づきの種が、思索の木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。

今回は、こちらのひと粒をお届けします。

「しかし、だとしたら世界はなんて皮肉に満ちた作りをしているのだろう。
有限だから死ぬ。
でもだからこそ、交換不可能となり、かけがえのなさが生まれる。
でもだからこそ、死にたくないと思ってしまう。
でもだからといって、死なない無限の世界にすると価値や意味を失ってしまう……。
もし、この世に神がいるとしたら、いったい何のためにこんな世界を作ったというのだろうか。」

出典:飲茶『あした死ぬ幸福の王子――ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」』(ダイヤモンド社, p.150)

人間は「有限の存在(死ぬ存在)」である。
この事実から、どうしても“負い目”や“無力さ”を感じてしまう。
しかし、それこそが「本来的に生きる」ための出発点。

死を恐れるのではなく、
自分がいつか死ぬ存在であることを、
あらかじめ引き受けて生きる。
それが、“いま、この瞬間”を本気で生きることにつながる。

愛する人も、自分も、有限だからこそ、かけがえのない存在となる。
だからこそ、できるだけのことをして生きたいと思う。
それが、「本来的に生きる」ということなのかもしれない。

“永遠”ではなく、“いま”を大切にする。
それは決して悲しいことではなく、
生きることそのものの喜びなのだろう。


🌱今日のひと粒

限りある命だからこそ、
その一瞬が光を放つ。
有限の中に、永遠の意味が宿る。

タイトルとURLをコピーしました