気づきの種が、思索の木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。
今回は、こちらのひと粒をお届けします。
「有名な『塞翁が馬』の話も同じです(『淮南子』人間訓)。
馬が逃げてしまって悲しいと思っていたら、それが別の馬を連れて帰ってきた。
なんとうれしいことかと喜んでいたら、その馬に息子が乗って落馬し、骨折をした。
悲しいと思っていたけれど、やがて隣国と戦争が始まり、徴兵されるはずだった息子は骨折していたためそれを免れた。
つまり、状況が変わると、出来事の意味はまるっきり変わってしまうのです。」出典:玄侑宗久『NHK「100分de名著」ブックス 荘子』(NHK出版, p.88)
状況が変われば、「今」が持つ意味もまったく変わる。
いま苦しいことも、いつか振り返れば「それでよかった」と思えるかもしれない。
そう考えると、少しだけ気持ちが楽になる。
人生は、その時点だけを切り取って「幸」「不幸」と決めるには、あまりにも長く、深い。
🌱今日のひと粒
いまの意味は、まだ決まっていない。
物語の途中だからこそ、人生はおもしろい。

