気づきの種が、思索の木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。
今回は、こちらのひと粒をお届けします。
「『他者』とは、『私』にとって『意図』の確実な疎通ができない不愉快で理解不可能な対象であると同時に、
だからこそ、『問いかけ』が可能な唯一の存在でもあるのだ。
そして、僕たちは、『他者』に『ホントウはどうなんだろう?』と真理を問いかけることにより、
『新しい可能性』『新しい価値観』『新しい理論』を無限に創造し続けていくことができる。
つまり、本来、うまくいかないはずの『私』と『他者』との関係(対話)を断絶させずに成り立たせている原動力とは、
人間の『真理(ホントウ)を求める熱い想い』なのである。」出典:飲茶『史上最強の哲学入門』(河出書房新社, p.113)
世界は、「私」と「他者」によって成り立っている。
「他者」とは、自分の思い通りにならないもの。
なんだかよくわからないもの。
そして本来的に、「私」を否定する不快な存在でもある。
私たちは気づかなくてはいけない。
自分が愛するパートナーでさえも、「他者」であることを。
そうだとすれば、「他者」であるパートナーと良好な関係を築こうとすることは、
そもそも不可能な試みなのだろうか。
確かに、それは容易なことではない。
しかし、いや、だからこそ、追い求める価値がある。
最初からすべてが思い通りにいくなら、それは快適かもしれないが、退屈でもある。
対話の中で、思いがけない言葉や反応に出会う。
そのたびに、自分の知らなかった自分を発見する。
それこそが「他者」と出会うということなのだ。
拒絶されることも、傷つくこともある。
それでも「他者」との関係を断たずに、問いかけ続ける。
その姿勢こそが、哲学の始まりであり、
同時に、良好なパートナーシップの本質でもある。
あなたとパートナーとのあいだで起こるすれ違いや誤解は、
失敗ではなく、むしろ“新しい可能性”の種なのかもしれない。
🌱今日のひと粒
「他者」とは、理解できない存在。
けれど、その理解できなさの中に、
新しい真理と、関係の希望が宿っている。

