🌱1分de知の種 Seed.19(2025.11.01)
~わけのわからない世界を、愛する~

気づきの種が、思索の木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。

今回は、こちらのひと粒をお届けします。

「昔読んだわけのわからない哲学書。彼は、世界のわけのわからなさを、わからないまま伝えるしかなかったんじゃないか。
だからわたしは愛する。奮闘した結果、わかりづらくなってしまった言葉も、何を意図しているのかすら全くわからなくなってしまった言葉も。
わけのわからないへんてこな世界を、純粋にそのままうつしだしているように見えるからだ。
彼女のからだや言葉はガラスよりも透き通って、世界をそのままうつしだす。言葉は、世界そのものである。」

出典:永井玲衣『水中の哲学者たち』(晶文社, p.18)

ああ、いいな、と思う。

自分がふわふわと感じていたことを、
ぴたりと形にしてくれる言葉に出会ったときのあの感覚。
うれしさと、ちょっとした嫉妬が入り混じる。

「ああ、これが言いたかったんだよ」と思うのに、
自分ではうまく言えない。

けれど、そんなときこそ、本を読む喜びを感じる。
誰かが自分より先に、世界の形を見つけてくれているということ。
その安心と、少しのくやしさ。

「あぱー」「うわうわ」「ばぶぼぶ」

もうすぐ1歳になる息子が、今日もしゃべっている。
彼もまた、このわけのわからない世界のふしぎを、
彼なりのことばで、とらえ、伝えようとしているのだろうか。

私も、彼のことばを、そして彼の世界を、愛したいと思う。


🌱今日のひと粒

言葉は、世界そのもの。

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