🌱1分de知の種 Seed.09(2025.10.22)
~パスカル『パンセ』から考える、言葉が心をつなぐとき~

気づきの種が、思索の木となり、やがて知の森となる。
日々の中に、静かに芽吹く気づきを。

今回は、こちらのひと粒をお届けします。

「自然な話し方によって、ある情念やある効果が見事に描かれると、
人はいま聞いたばかりの話の真実性を自分自身の中に発見することになる。
たとえ、その真実性が自分の中にあったということにまったく気づきもしなかったにもかかわらず、である。
その結果、その事実に気づかせてくれた人をにわかに愛するようになる。
なぜなら、その人は自分自身の財産を教えたのではなく、
わたしたちの財産を教えてくれたからだ。
ことほどさように、こうした恩恵はわたしたちにとってその人をたいへん好ましい存在に変えるが、
さらに言うなら、わたしたちとその人との知性の共通性がわたしたちの心にその人への愛を吹き込むことになるのだ。」

出典:鹿島茂『NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ』(NHK出版, pp.20–21)

パスカルの言葉は、
「人は、他者の語る言葉の中に、自分の真実を発見する」と教えてくれます。

自分の中にあった思いを、他者が言葉にしてくれたとき、
私たちはその共鳴を発見と感じるのです。

その瞬間、
私たちは「理解された」という喜びとともに、
その人への愛や親しみを覚える。
なぜなら、その人は自分の中の真実を見せてくれた存在だから。

言葉の共鳴が愛を生み、
愛が新たな知への好奇心を芽吹かせる。
そんな循環の中に、
人と人が理解し合う“哲学的なあたたかさ”があるのかもしれません。


🌱今日のひと粒

誰かの言葉に、ふと自分を見出すとき、
愛が生まれ、好奇心が芽吹く。
言葉は、心と心をつなぐ橋。

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